2019年の年間日本語ベストトラックと、日本語ベストアルバムを選んだ。邦楽ではなく、日本語という括りで選出。曲はすべてポップミュージックとして聴いていたもの。歌詞に心を奪われたり、新しいボーカル表現に出会ったり、今年も面白い日本語の音楽がたくさんあった。
The Best Japanese Tracks of 2019
46. Gokou Kuyt - 溶けたマーガリン
45. RADWIMPS - 愛にできることはまだあるかい
44. Official髭男dism - 最後の恋煩い
43. ralph - No flex man
42. Tohji - on my own way
41. BRIZA, Fuji Taito & Lil Kaviar - トリハダ
40. VaVa - Chapter
39. Official髭男dism - ビンテージ
38. 藤井 風 - 何なんw
37. YOSHI - RIDING ON TIME
36. Lucky Kilimanjaro - HOUSE
35. LEX - GUESS WHAT? feat. XakiMichele
34. Official髭男dism - 宿命
33. 米津玄師 - パプリカ
32. Leina - 未開封の恋
31. カネコアヤノ - 光の方へ
30. Fuji Taito - Bakdan
29. Official髭男dism - Pretender
28. MonyHorse - Oinukasu
27. 君島大空 - 遠視のコントラルト
26. AKLO & NORIKIYO - 百千万
25. RAU DEF - AFTER PARTY feat. Jinmenusagi
24. Vaundy - 東京フラッシュ
23. Minchanbaby - Blue Clouds
22. THE NOVEMBERS - Everything
21. AAAMYYY - GAIA
20. suchmos - WATER
19. Mall Boyz (Tohji & gummyboy) - Cool running feat. SEEDA
18. KOHH - I Think I'm Falling
17. never young beach - 春を待って
16. UMI - Sukidakara
15. SPARTA - ALIEN feat. KID FRESINO
14. RIRI, KEIJU, 小袋成彬 - Summertime
13. People In The Box - 装置
12. 小袋成彬 - Night Out
11. Kan Sano - My Girl
10. Mall Boyz (Tohji & gummyboy) - Higher
9. 思い出野郎Aチーム - 同じ夜を鳴らす
8. サカナクション - 忘れられないの
7. KIRINJI - 「あの娘は誰?」とか言わせたい
6. 小袋成彬 - New Kids feat. Kenn Igbi
5. KOHH - Imma Do It
4. Kan Sano - Stars In Your Eyes
3. CHAI - ファッショニスタ
2. 坂本慎太郎 - 小舟 feat. ゑでゐ鼓雨磨
1. 小袋成彬 - Gaia feat. 5lack
The 5 Best Japanese Albums of 2019
1. 小袋成彬 - Piercing ♪♪
2. CHAI - PUNK ♪♪
3. KOHH - Untitled ♪♪
4. KIRINJI - Cherish ♪♪
5. Kan Sano - Ghost Notes ♪♪
2019 in Japanese Music
選んだ曲はすべてポップミュージックとして聴いていたもの。どれもキャッチーで耳に残るラインがあったと思う。サウンド面やグルーヴがきちんとしていることを重視しているけれど、それがダメでも歌詞とメロディの力で押し切られてしまうのが母国語で歌われる曲のおもしろいところ。白状すると、いくつかそういう曲が混ざっている。
新しい日本語での表現という点では、やはりラップの進化が見所だが、ここ数年停滞気味なのが気になるところ。Jポップの中にラップ以降のフロウが見られるのも当たり前になっているが、その多くが劇的な変化や面白い表現に至っていないようで寂しく感じる。その点、ベテランのキリンジが「あの娘は誰?とか言わせたい」のようなボーカル表現に到達したのはとても興味深い事だった。
メインストリームではOfficial髭男dismが一人勝ちしたのが印象的だった。音楽ファンからはネガティブな反応が多いバンドだが、個人的には今一番気になる存在。メガヒットした「Pretender」こそ退屈なサウンドだが、他の曲を聴いてみると世界の最新サウンドを貪欲に取り込もうとしていることに気付かされる。しかもその完成度は決して低くない。
Travis Scottのstraight upのような飛ばしのリバーブをキメたかと思ったら、急にBrasstracksを引用してみたり、ジャンルもバラバラのサウンドをこれでもかと取り込もうとしていて。それをJポップのど真ん中で挑戦しているのだからすごい事。今後どういった進化を遂げていくのか注目したい。ただ、需要に答えてコテコテのドラマ主題歌を量産しそうなのも気がかり。どうか自由なクリエイティブ環境が得られていますように。
小袋成彬の『Piercing』は2010年代の最後にふさわしいアルバムだったと思う。ガラパゴス化して久しい日本のポップミュージックシーンにおいて、ここまで進化している作品は他に見当たらない。ソングライティングもサウンドプロダクションもすべて次世代のレベルに到達している。前作のストレートなフランクオーシャン・オマージュは影を潜め、Jポップ的な過剰に説明的な展開も減衰し、完璧なバランスが取れていると思う。これを2010年代に置いていき、新たな時代に何を作るつもりなのか、楽しみでしかたがない。
2020年代には、どんな新しい表現が生まれるのかとても楽しみ。個人的にはキャッチーさも兼ね備えたバランスの曲が好みなので、2016年に世界のメインストリームで起こったようなことが、日本でも起こると良いなぁと思っている。日本の音楽を取り巻く状況は決して良くないが、変化が起こり、それが良い結果に繋がることを願っています。
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