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ポップカルチャーぐうたら

2020年邦楽日本語ベストトラック40曲 & ベストアルバム10枚

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2020年の年間日本語ベストトラックと、日本語ベストアルバムを選んだ。邦楽ではなく、日本語の曲という括りで選出。以下、日本語ベストソング40曲と、日本語アルバム10枚です。

 

The 40 Best Japanese Tracks of 2020

40. Vaundy - napori

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Vaundyの歌唱力は新世代アーティストの中でも別格だ。デビューアルバムのサウンドはあまり面白いものではなかったが、彼のヴォーカルによって凡庸なトラックも見事に躍動していた。彼はこのままでも日本のトップシンガーになるだろうが、次の一手が音楽的な冒険だったらと想像してしまう。
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39. Age Factory - Dance all night my friends

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初々しい甘酸っぱさが美しい曲だ。2020年には見ることができなかった光景が、この曲で高らかに歌われている。
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38. PUNPEE - Wonder Wall feat. 5lack

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血縁で結ばれた関係は祝福にも呪いにもなる。「ミリオンジュエリーは買えたけどもよ この関係は買えません 親に感謝」この曲は兄弟の幸運をささやかに祝福する。
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37. Only U - MidNightGirl

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MySpace時代のインディーダンスビートとエモラップの邂逅。90秒しかないアイディア勝負の一曲だが、そのインパクトは絶大だ。
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36. 藤井風 - へでもねーよ

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この胡散臭さも藤井風の魅力だろう。全てに意味があるはずなのに、サッとはぐらかして次々ジャンルをスイッチしていく。気付けば不思議と虜にされていた。
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35. 舐達麻 - BUDS MONTAGE

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これは強烈な一曲だ。まるでドラマのように多くの事が語られるがその全貌は見えず、さっと煙に巻かれてしまう。刺激的なワードが飛び交うが、普遍的なことを歌っているようにも感じられた。
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34. カネコアヤノ - 腕の中でしか眠れない猫のように

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カネコアヤノの曲を聞くとなぜだか懐かしい気持ちになる。すこしバタついたビートに粗いギターストローク。その上をカネコアヤノの歌が跳ね回り、不思議な魅力に惹き付けられた。
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33. Le Makeup - 微熱

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Le Makeupのサウンドプロダクションは歌詞に寄り添うように色々な表情を見せ、立体的に心に響いた。「最近勝ち負けとかもういい 腐ったゲームにも飽きてきたよな」資本主義に辟易しているという表現は、2020年に世界中で頻出したトピックだった。
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32. Tohji - プロペラ *i feel ima propella “she” she wanna hit

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ちょっと待ってTohji。意味不明だが、凄まじい中毒性をもつ迷曲だ。
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31. 浦上想起 - 未熟な夜想

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浦上想起の才能を言い表す言葉が思い浮かばない。目まぐるしく移り変わるサウンドに日本語のメロディーが乗っている。それはキャッチーなようだが歪でもある。ソングライティングやサウンドプロダクションの全てが上質だと感じられるが、ポップソングの常識の外側にいる。
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30. 羊文学 - あいまいでいいよ

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羊文学のアルバムからは多くのフィーリングを感じられたが、この曲の鮮やかさは格別だ。「あいまいでいいよ 本当のことは後回し」夢のように全てが流れていくコーラスがたまらなく胸を捉えた。
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29. (sic)boy, KM - Heaven's Drive feat. vividboooy

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(sic)boyは2020年最大のニューアーティストだろう。世界的にエモラップブームは一旦落ち着いた印象だが、アンダーグラウンドでは今も多様な進化を遂げている。(sic)boyもその外縁にいるアーティストの一人であり、今後の動向に注目したい。
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28. tricot - 真っ黒

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生々しい歌詞を適度に抑制された演奏が支えている。伝統的なエモのアレンジだがサウンドに古びた印象はなく、歌のフィーリングを伝えるために作用している。真っ黒というタイトルも完璧だ。
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27. valknee, 田島ハルコ, なみちえ, ASOBOiSM, Marukido, あっこゴリラ - Zoom

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クアランティン下で6人が提示するトピックは、能天気にあっけらかんとしているようで、様々な問題提起を含んでいる。日常を薄皮一枚隔てたところに広がっている居心地の悪さと、アッパーなビートを行き来するラップが不思議と癖になる。
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26. ヒグチアイ - 東京にて

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日本、東京、オリンピック。結果全てが崩れた2020年をそっと祝福するようなヒグチアイの歌に心を打たれた。応援歌と呼ぶのは抵抗があるが、この曲は今日もだれかの背中をそっと支えている。
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25. 突然少年 - フロムアンダーグラウンド feat. 岡山健二

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「そんなあの子には歌って 鮮やかな日々を」ここまで瑞々しくライブシーンを祝福する楽曲があっただろうか。パンデミック直前にこの曲がリリースされたことは不幸だったが、それもまたドラマチックだ。
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24. GOBLIN LAND - 赤灯ELEGY

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ビッグメロディーを携えた若者のアンセム。「別に気にしてないお前のこと 勘違いすんな俺のこと 嘘つきだけれど正直者 yeah yeah yeah yeah」彼らは率直に世界の居心地の悪さを宣言する。
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23. yonawo - 202

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デモのようなアコースティックの弾き語りだが、トピック・リリック・フロウ・サウンドテクスチャーの全てが完璧なバランスで交わっている。聞く度に胸が締め付けられた。
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22. PUNPEE - 夢追人 feat. KREVA

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PUNPEEらしくクラシックなビートを現代にアップデートさせ、実に楽しい楽曲になっている。KREVAのラップも違和感なく乗っており、レジェンドの風格を漂わせていた。
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21. Weny Dacillo - How U Feel

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意外だったWeny Dacilloによるダンスポップ。リリックは男性視点の下品さもあるが、ねちっこいラップが良い感じにバカっぽいのであまり気にならず、軽やかな心地良さの方が先に立っている。
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20. Mom - 胎内回帰

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クセの強いボーカルスタイルが特徴だが、何よりハッとさせられる瞬間が何度も訪れるビートチェンジが魅力的だ。曲中でいくつもの空間を行き来するが、リバーブたっぷりのギターで覆われた瞬間、一気に風が吹き抜けるのを感じた。
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19. BBHF - リテイク

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「僕だけが 君に優しくあれる」幼い自信を、ディテールまでこだわり抜かれたサウンドプロダクションが支えている。愛おしい瞬間を見事に切り抜いた傑作だ。
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18. kZm - TEENAGE VIBE feat. Tohji

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とにかくフレッシュで若いエネルギーが爆発している。TEENAGE VIBEというタイトル、サンプリングのチョイス、全てが完璧。相変わらずTohjiのラップはほとんど聞き取れないが、最高のヴァイブスを放っている。
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17. KOHH - Rodman

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やはりラップのスキルが圧倒的だ。このリリックを説得力を持って届けられるのはKOHH以外に考えられない。
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16. iri - 24-25

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iriの躍動するヴォーカルを、緻密に設計されたビートが支えている。「ずっとずれてきた 24-5 years まだ続く Way too far no fear 嘆いても 切り抜く My road」高らかに歌うコーラスがたまらなく胸を捉えた。
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15. Lucky Kilimanjaro - エモめの夏

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幼き高揚感と甘酸っぱさが魅力のアッパーなダンスチューン。情けなくも愛おしい夏の一瞬が見事に凝縮されている。
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 14. AKLO - カマす or Die feat. ZORN

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DaBabyの登場以降、6・7・8拍目にキックを置くビートがトレンドとなったが、日本語で最もかっこ良いと感じたのはドリルと組み合わされたこの曲だった。特にZORNのリリックは引きのあるフレーズで構成されており、何度もリピートしてしまった。
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13. ROTH BART BARON - NEVER FORGET

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凄まじいエネルギーを携えたこの曲は、日本語インディーロックの最高到達地点だろう。「世界を犠牲にしても やりたいことがまだある? 明日をもしなくしても 叶えたいものがある」神秘的でありながら強烈なリリックに圧倒されてしまった。
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12. DJ CHARI & DJ TATSUKI - JET MODE feat. Tyson, SANTAWORLDVIEW, MonyHorse & ZOT on the WAVE

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このフックのヴァイブスを日本語で出せたのは前代未聞だし、マジで天才。それに尽きる。
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11. YAJICO GIRL - FIVE

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80年代ポップスを思わせる歌だが決して古びた印象はない。ノスタルジーを呼び起こすサウンドプロダクション、特にリバーブの処理は見事だ。この曲が放つ高揚感は溜息が漏れるほど美しい。
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10. 折坂悠太 - トーチ

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サウンドは軽やかだが、歌詞はなにやら不穏な気配を帯び始め、2020年初頭の日本の空気を映し出す。穏やかでありながら直球のプロテストソング。
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9. 藤井風 - 死ぬのがいいわ

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抑制された歌いだしのヴァースが魅力的だった。音節が均等に配置されたフロウは、トラップ以降の日本語曲のお手本として、教科書に載せたいほど完成されている。
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8. Nulbarich - ASH feat. Vaundy

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ビートの気持ち良さに加え、JQとVaundyのヴォーカルがとにかく最高だ。「今灰にして」あまりに心地良いコーラスが、ずっと耳に残っている。
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7. LEX - Romeo & Juliet

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昨年の「GUESS WHAT?」には衝撃を受けたが、アルバム『LiFE』でみせた多様なアプローチにはさらに驚かされた。陽気なダンスナンバーであるこの曲を筆頭に、2020年代の日本のラップシーンがジャンルレスに拡大していくことを確信させる。
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6. 5lack - きみのみらいのため

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5lackによるポップソング。フックはほとんど歌っているような状態で、心地良いフロウとメロディーに心を揺さぶられた。「すべての試練に立ち向かう同胞と すべての子どもたちに送る」資本主義への葛藤と愛の歌。
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5. Attractions - Blood Pressure

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ようやく現れた日本語によるスタジアム級のアンセム。80年代のエッセンスを携えたバンドサウンドは、モダンなサウンドプロダクションにより壮大な高揚感をもたらしている。The Weekndさながらのシャウトでなだれ込むドロップは、狂乱のフロアが目に浮かぶが、その体験は少し先になりそうだ。
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4. BBHF - 君はさせてくれる

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シンプルな楽曲だがアレンジやサウンドプロダクションが緻密で、名曲の風格を漂わせている。あらゆる要素がグルーヴの心地良さに昇華され、ヴォーカルの柔らかな歌声にとろけてしまった。「そんな気に 君はさせてくれる」幸せな一瞬を夢の中に閉じ込めたような瑞々しいマスターピース
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3. 米津玄師 - 感電

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近年のビートミュージックへの傾倒は、この曲で大きな飛躍を見せた。以前はJ-Pop特有のリズムの脆さがあったように思うが、石若駿らの起用によりグルーヴを引き出すことに成功している。米津のシグネチャーであるソングライティングや、細かく配置されたサンプルなど、独自の要素が不思議なバランスで絡み合っており、世界を見渡してもこれほど奇妙なポップソングは他に見つけられない。
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2. Awich - Shook Shook

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「まさか女が来るとは」高らかに宣言して始まるこの曲は日本語ラップシーンにとって大きな転換点として記憶されるだろう。それはフィメールラッパーの躍進という点だけでなく、日本語ラップが北米のメインストリームシーンに全く引けを取らない楽曲を作れると証明した点である。ビートもフロウも最先端でありながらオルタナティヴな印象はなく、現行のUSメインストリームラップの最前線に置いて全く遜色のない楽曲だ。
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1. cero - Fdf

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前作でダンスミュージックへ傾倒したceroだったが、2年越しの新曲はよりパーカッシブなビートへと進化した。デトロイトテクノやシカゴハウスからの影響を感じさせるが、管楽器のアンサンブルやボーカルサンプルが絡み合うサウンドは極めて現代的だ。リズムそのものがキャッチーで、歌と相まってポップソングとして機能している。世界中で他に類を見ないこのトラックに、日本語が自然に乗っていることが奇跡のようだ。
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The 10 Best Japanese Albums of 2020

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10. Gezan - 狂(KLUE) ♪♪
9. Le Makeup - 微熱 ♪♪
8. (sic)boy, KM - CHAOS TAPE ♪♪
7. Mom - 21st Century Cultboi Ride a Sk8board ♪♪
6. 藤井風 - HELP EVER HURT NEVER ♪♪
5. 浦上想起 - 音楽と密談 ♪♪
4. 羊文学 - POWERS ♪♪
3. LEX - LiFE ♪♪
2. ROTH BART BARON - 極彩色の祝祭 ♪♪
1. BBHF - BBHF1 -南下する青年- ♪♪

 

2020 in Japanese Music

選んだ曲はすべてポップミュージックとして聴いていたもの。どれもキャッチーで耳に残るラインがあったと思う。サウンドやグルーヴがきちんとしていることを重視して選んでいるが、日本語の歌詞とメロディの力で押し切られてしまうような曲もいくつかあった。

2020年は特に豊作で多くの楽曲と出会うことができた。特にラップが新しい局面を迎えており、Tohji以降とでも言うような新しいシーンが生まれているのを感じる。また、バンドサウンドは世界の流れと並行して苦境に立たされているが、女性アーティストが新しいフィーリングを作り出しているので引き続き注目していきたい。

こうして40曲並べてみると、似たようなサウンドが多いように感じた。ジェンダーバランスが悪いせいもあるが、もう少し多様性のある曲と出会えるように考えなければいけないと思う。

2021年は何より新型コロナウイルスとの戦いを終わらせることからスタートするが、その先に新たな音楽やライブシーンとの出会いが待っていると信じたい。元通りとはいかないだろうけど、きっと新しい何かが生まれると心待ちにしています。

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