雉虎白note

ポップカルチャーぐうたら

映画『マンク/Mank』デヴィッド・フィンチャーはギラついて

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さすがにDavid Fincher(デヴィッド・フィンチャー)作品だし劇場で見れるだろうと高を括っていたけれど、わが町では公開されなかった。何年も心待ちにしていたフィンチャー新作を、テレビで見る悲しさたるや。

 40インチのブラビアにへばりついて、ヘッドホン大音量で見てやりましたよ。

『Mank/マンク』のトレイラーを見て驚いたのは、やはりそのルックだった。モノクロなのにギラギラしてるの(わかる?)。

自分がフィンチャー作品の好きなところは、映像のギラギラ感。デジタルのバッキバキの質感と完璧に設計された絵作り。

 つまりは、ルックが最高ってこと。

それでかなり期待して映画を見たんだけど、最近のフィンチャー作品に比べると絵がけっこう柔らかい感じがした。フィルムっぽくしてあるっていうのもあるんだろうけど、バキバキ感が少なめでギラツきを感じなかった。

それとプレスの写真にあったハースト・キャッスルの外観のショットが無かったのが残念だった。すごくドキッとする写真だったから楽しみにしてたのに。その2点はちょっと期待はずれだった。

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ただそれを差し引いても大傑作。内容は『Citizen Kane/市民ケーン』をしっかり理解している必要があるし、映画の歴史や現代社会へのリテラシーも要求されるので、万人受けするものではないと思う。自分もその点、理解して楽しめてるとは思えない。

それでも、本当に良い映画を見てるという感覚が2時間ずっとあって、アートとエンタテイメントが両立している奇跡的な作品だと感じた。

それは『TENET/テネット』でのクリストファー・ノーランにも感じたことなんだけど、撮りたい絵があってそのために全力を尽くすっていう、映像作家としての最大の欲求に猪突猛進する感じ。フィンチャーの細部へのこだわりが随所に感じられて、

 あぁこれが撮りたかったんだ・・すげぇ・・・

っていうのがずーっと続くの。特にベッドで寝たきりのゲイリー・オールドマン周りのシーン、あっちから、こっちから、色んな角度からね、よく一部屋であんなに魅力的なショットが撮れるなぁと。

すごいよフィンチャー最高だよ。

Photograph © Mank (2020) Netflix